第5回ミッキーの徒然コラム「女子寮~禁断の花園~」

ミッキー  2011.5.9

周りが結婚ブームです。ブームといっても、もうそれなりの年齢なので普通の事なのですが。
先日、高校の同級生が結婚しました。
これまた普通の事だと、思われるかもしれません。でも違うんです。

私と彼女は、ただの友達ではなく、「戦友」なのです。

中学生の時、勉強が不得意だった私は、地元の公立高校へは行けず、遠く離れた私立校に通うことになりました。
そこへ通うための交通手段がない為、自動的に寮生活が決定したのです。

桜舞い散る4月、友達や家族と離れる寂しさと共に、入寮しました。
私と、その彼女はそこで出会ったのです。

寮に入ってすぐに思ったことは、

「学校と近すぎる」

学校の敷地内にその寮はありました。ほぼ、校舎の一部です。
「まぁ、忘れ物をした時は便利だな」なんて、この時はのん気にかまえていました。

新入生達を迎えてくれたのは、年齢不詳の寮母さんでした。
今考えると、おそらく60代半ばだったのでは・・・。
ニコニコしていて、すごく優しそうな寮母さんを見て、母も安心した様子でした。

しかし、後にこの寮母・・・いや、鬼婆に私はひどい仕打ちを受ける事になるのです。

部屋は3人部屋で、畳でした。
事前に見ていたパンフレットには、しっかりと「2人部屋、じゅうたん」と書かれていました。

詐欺です。

お昼ごはんは、カレーでした。
緊張からか、食後に腹痛を起こし、部屋で休んでいた私に同じ部屋の先輩がある物をくれました。

巻き物です。

あの、忍者がよく読んでるアレです。

「嫌な予感がする」

私は恐る恐る、その巻き物を開きました。
そこには、寮生活でのタイムスケジュールや規則がぎっしりと書いてありました。
大事なところには赤線が引いてあります。

確実に覚えられない。

バカだからこの高校に入ったわけで、そんなバカにこんな大量の規則、覚えられるはずがないのです。

打ちひしがれている私を置いて、母は帰って行きました。
正確には、帰らされました。
寮則に、「面会は17時まで」とあった為。

そう、奴らは入寮したその日から私達を追い込んできたのです。

私は泣きました。
早すぎるホームシックです。
こみ上げてくる嗚咽をこらえながらも、寮則を読みました。
すると、そこに「1年生は4時15分からお風呂」と書いてあるのが目にとまりました。
ホームルームが終わるのは、4時・・・。15分後にはお風呂?
普通に考えると、おかしいと思います。
学校が終わって、15分後にお風呂に入る高校生なんていますか?
無理無理。

いいえ。

この近さなら出来るんです。

私は1年間、4時15分からお風呂に入りました。
ちなみに、2年生になると5時からになります。
同級生達が、やれプリクラだの、やれ合コンだのといっている時に私は、全裸で体を洗っていたのです。

「帰り、遊び行かない?」

「ごめん、これからお風呂!」

不可解な表情の同級生達を背に、私は寮へと帰って行くのです。
ちなみに、1年生の間はシャワーは禁止でした。

入浴後は、夜ご飯です。
ここで注意。
食堂に入る際、周りを見渡して、先輩がいないか確認します。
もし、いれば先輩の許可が出るまでドアを開けて待機。

「入っていいよ」

「お先にすみません」

このやり取りは、洗面所、入浴所、玄関、様々な所で活用される基本です。
もちろん、学校の校舎で先輩に出会った際もするのですが、
学校の友達の前でされるのを嫌う先輩もいるので、臨機応変に対応しなければなりません。
「先輩心と秋の空」の法則です。
覚えておきましょう。

とにかく、先輩は敬わなければならない存在でした。

先輩が何かしようとすると、

「すみません、代わります」

断られると、

「すみません、お願いします」

これも、基本ですね。しかし、実際には「じゃ、お願い」なんていう先輩はあまりいません。
それでも、私達は言い続けるのです。
「すみません、すみません」と。
高嶋政信を、参考にすると良いでしょう。

先輩がいつ何をするのか、常に気にしながら食事をする毎日でした。

食堂にはテレビがありましたが、もちろん後輩は見てはいけません。
見てはいけないというか、背をむけて座るようになっているので見れないのです。
それでも、寮則の中に「7時25分になったら、めざましテレビに変える」とある為、
テレビに近い席の子達は動かなければなりません。

しかし、テレビを見ないと時間が分かりません。

どうするのか・・・。

勘です。

あの頃の私達は、女子高生であり、座頭市でした。

入寮して、初日があっとゆう間に終わろうとしていました。

「疲れた・・・」

身も心もクタクタだった私は、もはやホームシックにかかる暇もなく眠りにつきました。
目覚まし時計は、起きる時間の5分前にかけました。
「5分前行動」に赤線がひいてあったので。

朝7時。
寮内に、けたたましい音で鳴り響いたのは・・起床を知らせる鐘の音でした。
くじ引きで、鳴らす鐘の音をもっと低くしたような。
緊急事態のような音でした。
頭が割れそうになるくらいに、響き渡るのです。

あれ?
パンフレットには、「朝は、チャイムで爽やかに目覚めてます」と書いてあったような・・。

詐欺です。

つづく