第7回ミッキーの徒然コラム「女子寮~禁断の花園~その3 完結編」

ミッキー  2011.6.8

まず初めに・・・
「漫☆画太郎」という漫画家が描く、「ばばあ」というキャラクターをご存知ですか?
知らない方はぜひ画像検索をしてから、このコラムを読んでいただきたいです。
そして、そのばばあを寮母に重ねていただきたいのです。

ばばあとの戦いは突然やってきて、いつの間にか日常になっていました。

いつもの夕食の時間、お茶碗にごはんをよそおうとしていた私のところへ、ばばあ登場。
よそい方が汚いと、何度もやらされるの刑。
日本昔話みたいに大盛りにしていたわけでもないし、ごく普通だったはずなのですが。
このせいで、いまだに「きれいなごはんのよそい方」の正解が分かりません。

ある日、インフルエンザにかかった私は使っていない部屋に隔離されていました。
高熱で意識がもうろうとしている中で、ばばあ登場。
食堂に降りられない私に、食事を運んできてくれたようです。
「ばばあ・・たまにはやるな」
と心を許しかけた私を襲ったのは、焼け付くような甘い香り。
ばばあが持ってきていたのは、マフィンとココアでした。

できすぎ君ちのおやつの刑。(ドラえもん参照)

熱で水分が奪われている口の中で、これでもかと水分をもっていくマフィン。
カラカラに乾いた喉を荒らしていく、甘ったるいココア。
このせいで、私はココアが飲めなくなりました。

雨の日に私の洗濯物だけ、外に出されるの刑。
土日、外出許可を出してもらえないの刑。
他にも細々と色んな刑を受けましたが、私は屈しませんでした。

ただ一度を除いては。

2年生になったある日、私と戦友の彼女は夜中に先輩に呼び出されました。
連れて行かれたのは自習室と呼ばれる、畳の部屋。
そこにいたのは、ばばあと数人の先輩達でした。
この状況では、もう嫌な予感しかしません。
正座させられた私達にかけられた容疑は、1年生をいじめているというものでした。
身に覚えがない為、否定し続けていた私達ですが。
1時間・・・2時間・・・3時間・・・。
足の感覚はとっくになくなっていて、あびせられる罵声も、だんだん耳に入ってこなくなりました。
「こんな事に負けたくない」
そう思った瞬間、私は気を失ってしまいました。

目が覚めると、ばばあと先輩達はいなくなっていて、隣で戦友が泣いていました。
夜が明けるまで、二人で泣きました。
後で聞いたところ、ばばあは1年生に私達にいじめられていると言えと根回ししていたそうです。

もう嫌だ、辞めたい。

何度もそう思った私を、3年間支えてくれていたのはやはり友達でした。
理解できない寮則を一生懸命覚えたこと。
ホームシックになった時、励ましあったこと。
夜中にこっそり抜け出して、学校のプールに入ったこと。
向かいのマンションに、定期的に来る変態をからかって遊んだこと。
押入れにテレビを勝手に設置したこと。
使われていない戸棚を開けたら、ビンに入った大量の尿を発見したこと。

今となっては、全てがいい思い出です。

卒寮の日、皆で寮に向かって中指立てました。

そんな私の座敷牢・・・寮生活でしたが、
春には東京で憧れの一人暮らしが待っていました。(正確には千葉県ですが)
アパートの大家さんに、母と挨拶をしに行った時のこと。
そこにいたのは、優しそうな初老の女の人でした。
私は、なぜか胸騒ぎをおぼえました。

大家さんは、にこにこしながら私にこう言いました。

「母親だと思って頼ってちょうだいね」

どこかで聞いたことのあるセリフ・・・。

ばばあだ。

入寮した時、ばばあが同じ事を言っていたのを思い出した私の口からとっさに出た言葉は・・・

「ココアは飲めません」

おわり